僕は願う。
世界が平和に近付くことを。
争うことのない世界を。

でも、そうはいかないんだろう。
君が全てを終わらせても、悪は必ずどこかに残る。


*


「そんなに難しい顔をするな。深刻な話をするために呼んだんじゃない」
 ルルーシュの自室にやってきたスザクは、随分と固い顔をしていた。
 軽い声でルルーシュはそう言ったが、スザクはそんな気持ちにはなれなかった。
「深刻な顔にもなるよ。明日には君を殺す」
 低い声でスザクは言った。新緑の瞳が、真っ直ぐと自分の方を向いていることをルルーシュは知っている。
 知っていたが、敢えて視線を絡ませることはせず、ティーカップを手に取った。
「―――ゼロ・レクイエム」
「君の最期の日だ」
 スザクはソファの前で立ち止まる。ルルーシュの部屋に来たときは、何も言わずに座るのに、スザクはそれをしなかった。
 ルルーシュは、スザクに椅子を勧めたりはせず、視線を少しだけ上げた。
 紅紫の瞳が、スザクを捉える。
「だが、はじまりの日だろう?」
 意外な顔をするスザクに、ルルーシュは微苦笑して見せた。
「確かに俺は明日死ぬ。そしてお前も―――」
 だが、それは少し違う、とルルーシュは付け加えた。
「違う?」
「俺は死んでも願いは残る」
 それは、今後、スザクがゼロとして、繋いでいく。
「お前は、俺の願いを継いでくれるのだろう?」
 ルルーシュは手に取ったカップを軽く掲げた。
 スザクのそれは、彼がいつも座る定位置に置かれている。
 あまりに日常過ぎるそれに、スザクにも思わず笑みが漏れた。
「違うよ、ルルーシュ」
 今度は同じような顔をするルルーシュ。スザクは、いつもの定位置―――ルルーシュの向かいに座った。
「君の願いだからゼロになるんじゃない。これは僕の意志だ」
 スザクは、カップを手に取って啜る。きっと、この紅茶の味は忘れないだろう。
「それでいい、スザク」
 そう言ったルルーシュの声は、自信に満ちていた。
 スザクもつられて笑う。


明日は、世界の終わりで、始まりの日。
そして、ゼロ・レクイエム完遂の日。


END
*Postscript*
パレード前夜、ルルーシュとスザク。
ゼロレクイエムは、終わりでもあるし始まりであるとも思います。
空白の2か月、そして最終回後妄想は止まりそうにありません(笑)
2010/08/10