■S o r c i e r e - 魔 法 使 い -

私は人間ではない。
だが魔女でもない。
云わばその"間"の存在である。

――そう、育て親の僧侶から聞かされた。

私は親の顔を知らない。
父親も母親も。ましてや兄弟など、存在さえも知らない。
生を受けてすぐ、私は捨てられた。

だが今は感謝すべきであろう。
ブリタニアと言う国に生まれたことに。
そして…この不思議な力に。

*

ブリタニアの王・オデュッセウスは正統な後継者ではない。
先代の王シャルル・ジ・ブリタニアの後を継いだ主君を殺し、王の実弟を国外に追放して国を治める――云わば異端の後継者である。
だから、追放された兄弟がいつ反乱を起こすかオデュッセウスは気が気でならなかった。
「――何かいい方法はないかな、男爵」
椅子に肩肘をつき、手の甲に顎をのせてオデュッセウスが重臣に訊ねた。男爵と言う爵位の中では最下位であるにも関わらず、筆頭の重臣である彼は、そうですね…とやや思考を巡らせると、こう提案する。
「砦を築かれてはいかがでしょう?頑強なものを作ればそう簡単に突破出来ますまい」
彼によれば、知人に腕の確かな職人がいるという。そこで王はその職人を含め、優秀な人材を国中から集め、弟たちが侵入することのできないような砦を築くように命じたのである。

しかし。
それは王の望むような結果をもたらさなかった。ある一定の高さまで築かれたそれは突然崩れてしまったのである。1度や2度の話ではない。
その原因を王は勿論、職人たちでさえ分からず、何度も繰り返されるそれに王は苛立ちを感じ始めた。職人に対うする不満と、実弟たちの侵入に対する更なる不安である。
それが自分に降りかかるか恐れていた重臣は、国内で有名な占い師を呼び寄せ悩みを打ち明けた。するとその占い師は、砦が崩れるのは職人の所為ではなくこの土地によるものであると彼に説明した。
「――では、砦を気付くにはどうすれば…?」
そう尋ねれば、占い師は人間と魔女の血の両方を引く人物の血が必要だと言う。重臣が急いでそれを王に説明すると、彼は国中でそのような人間を探せと家来に命じた。何としてでもこの砦を築かなければならなかった。

「――なんと愚かなことを。そのような方法で国を守ることなど不可能だ」
ひとりの家来によって見つけられた少女はそう言い放った。鮮やかな緑色の髪の彼女は、拘束されても剣先を向けられても、銃を向けられてもそれを撤回しなかった。感情を含んでいないと思わせるその声は、王にとっては生意気にしか聞こえなかった。
「砦が崩れる原因はそれではない。――これは何者かの侵入を予言している。ただそれだけのことだ。」
重臣のひとりが彼女の前髪を掴んでも、淡々と述べるその言葉。
……何者か。
彼女は敢えてそれを云わなかったが、王に知らしめるのには十分だった。みるみる青ざめていくその様子に、少女は笑う。
「―――分かっているじゃないか。しかし、信じるかどうかはお前の自由だ」

少女のそれは現実となる。
ひと月も経たぬ間に実弟たちが率いる軍が王の城に侵入、占領した。

「私の名はC.C.。お前が良い王であり続ける限り、相談役になろう」

緑色の髪の少女は実弟に右手を差し出す。
C.C.と名乗る少女の特殊な能力に彼らは気が付いていた。

Date:2008.3.14
アーサー王物語冒頭より。…カナリ拾っただけ感が否めませんが。苦笑
不思議な感じの魔法使いはC.C.かと。ガウェインとの接触もあるので。


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