昨夜、妙に冷え込んでいると思ったら、起きたら雪が積もっていた。 見れば、近所の屋根も木も真っ白だ。相当降ったらしい。 隣の彼は、まだ寝息を立てて眠っている。 今日は非番だから暫く寝かせておこうと、リザは彼を起こさないようにそっとベッドから降りた。 最近は、朝食の準備が出来るまで待てるようになったが、姿を見せないのは珍しい。 理由は簡単だ。リザでさえ何年ぶりだと思うほどの雪なのだから、きっと本人は初めてなのだろう。 犬は喜び庭駆けまわりと言う童謡通りだと、安易に想像できる。 身体が温まるようスープを煮込んでいると、扉が開く音がしたので振り返った。 眠そうな彼が、立っていた。 「おはよう」 「おはようございます」 見るからにまだ眠そうなロイは、挨拶も早々に欠伸をした。これだけ冷え込んでいるのだ。一度目が覚めたら、眠り直すのは難しい。 それに、火を使っているので、リビングの方が暖かい。 「君の愛犬の姿が見えないようだが…」 辺りを見回して、ロイは訊ねる。 犬は耳が非常に良いから、誰かが起きれば気づくだろうし、リザが朝食の支度をしているとなれば、当然、暖かい部屋に居ると思ったのだ。 「外で走り回っているのだと思いますよ。久々の雪ですから」 雪、と言う言葉に彼は少し驚いた様子だった。 「いつもより冷えると思ったのはその所為か」 「えぇ。公安は少し大変かもしれませんね」 そんなことを思ってしまうのは、職業柄だ。 リザは、鍋の火を止めて、手を洗う。 ロイが洗面所に向かうものだと思っていたので、湯の用意をしようと思ったのだ。 だが、彼が向かったのは洗面台ではなく、リザのところだ。 「つまり、今日は君を独り占めできると言うことか」 耳元で突然囁くものだから、びっくりした。 熱い鍋も包丁もあるから危険だ。 「た、大佐!危ないですよ」 加えて言えば、熱いのは鍋だけでは無い。 「休日にその呼び方はないだろう?」 リザの忠告を無視してロイがそう言えば、彼女はきまりが悪そうに、視線を逸らした。 「なぁ、リザ?」 こんな君も悪くない、とロイは思う。 彼が洗面台に向かうまでには、もう少し時間が掛かったのだった…。 END *POSTSCRIPT* 今まで書いた話に比べると、ちょい甘めSS。 想定外のときの中尉の顔が大佐は好きなんじゃないかと思ったり(←え) 犬までに嫉妬ってどうよ?ってツッコミは無しでお願いします。笑 2005.12/ 2010.06 |