「君には銃なんて持って欲しくなかったんだ」 司令部からの帰り道、突然何かと思えば、そんなことを言うものだから、虚を突かれてしまった。 今さら過ぎる言葉に呆れてしまう。 「私はあなたを守る身ですよ」 「君の両手は希望のそれだった筈なんだ」 いつものような冗談ではないことに気が付く。 私を見る漆黒の瞳は、後ろめたさを感じているようだった。 「では、絶望の手ですか?」 そんな必要はないのにと言う思いを言葉に乗せた。 研究を託し、軍服に袖を通すことを決めたのは私。 押し付けられた、汚された手だと思ったことは無い。 「未来の幸せの享受には、血の河を渡る必要があるのでしょう?」 寄せるのは、信頼と、期待。 頷くあなたに、私は笑う。 「あなたの手は、可能性の手ですよ」 明るい未来を拓く手。 「言ってくれるな」 そう来なければ甲斐が無い。 あなたの背中は、私が守るのだから。 END 2010.06〜2010.10過去拍手掲載。 |