■FULLMETAL ALCHEMIST - Conquorer of Shamballa - Heiderich x Edward
下宿先の玄関の扉を開けるとかたり、と物音がする。
かつて物置だった小さな部屋から聞こえるその音で、ハイデリヒは居候が居たということを思い出す。
真っ先に彼の部屋に行って、ただいま、と顔を出した。

「おかえり」

身体だけハイデリヒに向けて、エドワードは手を止めた。
テーブルには何冊も本が積み上げられていて、それには付箋が付いていた。ノートはいくつも開いたままで、文字や数字がたくさん書かれている。

「どう、進んだ?」
「…うん、まあまあ」

エドワードは苦笑した。それは、行き詰ったことを誤魔化す癖。ひらひらとさせる左手は、力んで筆を握っていた証拠。
ハイデリヒは、小さく溜息を落とす。エドワードに近づいて、その手を握った。
「あまり、無理しないで下さいね」
その言葉で、エドワードは自分が嘘をついたことを見破られたと分かった。また顔に出てしまった、と思いつつ、彼の言葉に分かってると返事を返す。
「ほら、ちゃんとランプもつけないと…。目に悪影響ですよ」
ハイデリヒはテーブルのランプに火を灯す。明かりを調整して、ご飯すぐ作りますから、とダイニングへと向かう。
「・・・手伝おうか?」
「大丈夫。グレイシアさんからシチュー貰っているので、簡単に作るだけですから」
それまでに今日の分は終わらせてくださいね、とつけ加えて、彼は扉を閉めて感慨に更ける。
先ほどの会話を頭の中で繰り返す。
とりとめのない、ありふれた会話。
ただいまにおかえりと返して。
夕食作りを手伝おうか、と言われて。


――まるで身内、みたいだと思うことがある。

ひとつ屋根の下で暮らして、彼を少しずつ知っていくうちに。
昔から、知っていたのではないかと時々思う。
けれど、それは違って。
彼は、自分はここの人間じゃないと言う。
機械技術の代わりに錬金術が発達していた世界にいた、と言う。
ここは俺の世界じゃないって。
だから、他人に殆ど頼らなくて…
少しくらい甘えてくれたって、いいのに。



・・・もしも、ほんとうの兄弟だったら、エドワードさんは甘えてくれるかな?


そんな思いが、時々頭を過ぎる。


Date:2007.04.20
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