「――記念日、だそうだ。」

今日、東方司令部に大総統が来る理由がそれらしい。
今日はイシュヴァール内戦の終戦日で過去のような暴動が二度と起きないように、と大総統が自ら視察するとのことだと言う。


「…別名・征服記念日だと思わないか?中尉」

溜めていた書類の束(サイン済み)をホークアイに手渡し、ロイは言う。

「そうですね…余り、認めたくありませんが」

他民族を殲滅して何が嬉しい・・・と彼は呟く。

出来るなら忘れてしまいたいが、その他民族――イシュヴァール人の殲滅を担当したのは紛れも無く自分達である。
それで今の地位に居る、と言えない訳ではないがそれなりに胸を痛めてもいた。
更に言うなら「大総統(うえ)を目指そう」と強く思い始めるようになったのもこのころである。


だが、思い返してみれば、彼女――リザ・ホークアイに出会ったのもこの時期だった。

殲滅戦で多くの死傷者を出した軍部は、士官学校を卒業仕立ての尉官を国家錬金術師の副官にした。彼女もその一人で、『焔の錬金術師』の元に配属された。ただそれだけの話だ。
だが、彼女の銃の腕前はとても士官学校を卒業したばかりとは思えなかった。百発百中の正確さ。それに右に出るものはいなかった。
更に美貌という事もあって何人もの同僚に羨ましく思われたこともあるが、私は何より彼女の内面に惹かれていた。知らず知らずのうちに。

そして彼女に好意を抱いたのは言うまでも無い。




「――しかし、皮肉なものだな。君との出会いもイシュヴァールだ。祝うにも祝えない・・・」

心からそう思う。科学者であるゆえ、信じてはいないも同然だが神を恨みたくもなる。

すると彼女は微笑んでこう。

「祝えばいいじゃないですか。将来、貴方が大総統になった時に。」


貴方が大総統になったとき、国は変わるのでしょう?



「そうだな。約束するよ。」



愛のお題より「記念日」
ホントは誕生日か出会った日、にしようかと思ったけど、「征服記念日」というのがあるのを知ったのでそれにしてみました^^;

〜2006.03.18



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